◎伊豆の国市の歴史展示室(二階)
伊豆の国市内には数多くの遺跡が存在しますが、ここではそれらの遺跡からの出土品によって、旧石器時代から戦国時代にいたるまでの地域の歴史が概観できるようになっています。特に古墳時代から室町時代にかけての遺物が充実しているのが特徴です。
代表的な遺跡
@多田大塚古墳群(古墳時代)
伊豆半島で最古といわれる、10基の古墳からなる5世紀頃の古墳群。埴輪や短甲・直刀・銅鏡・馬具など、数多くの副葬品が出土しています。
A願成就院跡(鎌倉時代)
北条政子の父時政が、文治5年(1189)に建立した寺院の跡。巴紋の軒丸瓦や剣先紋の軒平瓦などの古瓦、陶器・磁器類が出土しています。なお、願成就院跡は国の史跡に指定されています。また、現在の願成就院には、国指定重要文化財「木造阿弥陀如来座像」・「木造不動明王及び二童子立像、毘沙門天立像」などがあります。
B伝堀越御所跡(室町時代)
室町幕府の関東公方足利政知が居住した御所の跡。鎌倉時代の北条氏邸跡と重なるようにして存在しています。近年の発掘調査により、大量の「かわらけ」や輸入磁器などが出土しており、往時の御所の様子を物語っています。伝堀越御所跡は国の史跡に指定されています。
C韮山城跡(戦国時代)
足利政知の子茶々丸を滅ぼし、堀越御所を奪った北条早雲が居城とした山城です。早雲は韮山城を本拠として伊豆を平定し、やがて強大な戦国大名となる後北条氏の基礎を築きました。その後この城は、天正18年に豊臣秀吉の軍勢によって開城させられるまで、伊豆半島を押さえる後北条氏の重要な拠点となっていました。
韮山城は、曲輪が一列に並ぶ「連郭式」の構造を持ち、二重の堀をめぐらせた城であったことが古絵図や発掘調査によってわかってきました。江戸時代初期に廃城とされたため建物などの構造物は現存しませんが、今でも本丸にいたる曲輪の配列や、高く盛られた土居、深く掘り込まれた堀などがよく残っています。史料館には、出土した陶器類などの他に、韮山城を中心として周囲の支城も含めた復元模型が展示されています。